医学博士 蒲原聖可ブログ
(J Natl Cancer Inst. 2012 Jan 23.)
発がんメカニズムの一つとして酸化障害があり、がんリスク低減を目的として、抗酸化ビタミンやミネラルサプリメントが利用されています。
今回の研究では、ピロリ菌除菌療法後、抗酸化ビタミンとミネラルサプリメントを投与し、上部消化管がんリスクに関する作用が調べられました。
具体的には、中国の13村(Linqu County, Shandong Province)において、3365名(35〜64歳)を対象に、
ピロリ菌の除菌治療(抗生剤2週間投与)後に、
・ビタミンCとビタミンE、およびミネラルを投与した群
あるいは
・偽薬投与群
の各群について、
胃がん発症率および疾患別死亡率を指標として、
14.7年間のフォローアップが行われました。
(Shandong Intervention Trialという研究の一環です。)
なお、7.3年間のフォローアップによる先行研究では、
ニンニク抽出物投与群、
あるいは、ビタミンサプリメント(ビタミンC、E、セレン)投与群について、
前がん状態の胃粘膜病変に対する効果は見出されていません。
(除菌治療では、前がん胃粘膜病変低下効果が示されました。)
今回の研究における被験者の内訳は、以下の通りです。
・ピロリ菌陽性群(2258名)
抗生剤、ビタミン、ニンニクの2 x 2 x 2 factorial試験。
・ピロリ菌陰性群(1107名):(除菌のための抗生剤の代わりに偽薬を投与後)
ビタミン、ニンニクの2 x 2 factorial試験。
ビタミン介入試験
・ビタミン投与群(n = 1677):
ビタミンC 500r、ビタミンE 200IU、セレン 75μg/日(分2)、
・偽薬投与群(n = 1688)
ニンニク介入試験
・ニンニク投与群(n = 1678):
Kyolic aged garlic extract 800r、steam-distilled garlic oil 4mg/日(分2)、
・偽薬投与群(n = 1687)
胃がんと診断された被験者の割合は、
ピロリ菌除菌治療群では3%、
偽薬投与群では4.6%
でした。
(OR = 0.61, 95% CI = 0.38 to 0.96, P = .032)
胃がんによる死亡者の割合は、
ピロリ菌除菌群の1.5%、
偽薬群の2.1%でした。
(HR = 0.67, 95% CI = 0.36 to 1.28)
主エンドポイントの解析によると、
ビタミン介入群とニンニク介入群では、胃がん罹患率および胃がん死亡率の低下傾向が示されました。
副エンドポイントによると、
ビタミン介入群では、胃がん死亡者数および食道がん死亡者数について、有意な減少が見出されたということです。
(HR = 0.51, 95% CI = 0.30 to 0.87; P = .014).
以上のデータから、今回の研究対象となった地域/被験者では、抗酸化ビタミン・ミネラルサプリメント投与による上部消化管がんリスク低下作用が示唆されます。
これまでのデータを俯瞰的にみるとき、病気の一次予防や二次予防において、マルチビタミンやマルチミネラルは、基本のサプリメントとして推奨できます。
医療専門誌によるマルチビタミン摂取の推奨論文としては、次の2つがよく知られています。
(1)NEJM誌(1998)の論説
「Eat Right and Take a Multivitamin」
『適切な食事を摂り、マルチビタミンも利用しましょう』
(神経管欠損症予防、動脈硬化性疾患予防の意義)
(Oakely GP. NEJM. 1998 Editorial )
(2)JAMA誌(2002)の総説
「Vitamins for chronic disease prevention in adults」
『成人は、毎日、マルチビタミンサプリメントを摂取するべき』
(先進国では欠乏症は稀であるが、至適濃度を下回ることのリスクがある。)
(Fletcher.et al. JAMA. 2002 )
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