京のほけん屋: 付加価値
庭園での演出に、なんと2万円のお代を付ける料亭が京都にあるそうです。
夕闇が迫る頃、美しい女性が池のほとりにぼんぼりを置くと、その柔らかな光が水面を走って座敷に届き、庭の光景が一変する。この一瞬を味わうと、1人2万円プラスになるらしいのです。
ものすごい贅沢ですが、客が絶えないというのですから、暴利ではなく付加価値といえるのかも知れません。 道楽ではなく経済・・なのですね。
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ならば私にも、2万円かけて味わってみたい付加価値があります。ただし、小説の世界ですが・・・。
それは、藤原伊織のハードボイルド小説「テロリストのパラソル」に登場する新宿の「吾兵衛」というバーのホットドッグです。
注文があってからキャベツを切り、フライパンにバターを溶かしてソーセージを軽く炒め、千切りキャベツを放りこんで塩と黒コショウとカレー粉をふりかけ、キャベツをパンにはさんでソーセージを乗せ、オーブンレンジで加熱。頃合いを見て取りだし、ケチャップとマスタードをスプーンで流すというもの。
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1996年にドラマ化された際、ショーケンが吾兵衛のマスター役でこのホットドッグを作っていたのですが、めちゃくちゃに美味しそうだったのです。
京都から新宿まで約2万円の交通費をかけて食べに行く価値は十分にあると思ったくらいでした。
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ところで、「原価なしで付加価値のみ」という商品があります。 …占いです。
作家の角田光代さんが、取材で10件の占いを受けました。名前と生年月日や時間、生まれた場所のみを伝えた場合、手相、四柱推命、占星術などの占い手法の違いで結果に差が出るかどうかを検証する企画でした。多くの占いの基盤が統計学であることを考えると当然かもしれないのですが、その結果はほとんど同じになったそうです。 ただし、値段は3000円から2万円までさまざま。 「人が目に見えないものを『買って』もいいと思える金額の幅」と角田さんは評していました。
ぼんぼりの光に2万円、ショーケンのホットドッグに2万円、迷える未来に2万円。
付加価値のかたちはさまざまですね。
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